DISCUSSION
ダイバーシティを語る
〜障がい者・健常者を隔てない職場〜
JPXでは障がい者と健常者は普段、同じ職場でどのように関わって働いているのでしょうか。仕事の内容やそれぞれの意識、職場環境や企業風土など、気になるポイントを聞いてみました。
Talk Member
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上司Aさん
上場推進部 上場セレモニー統括役
1980年入社入社以来さまざまな部署を経験したが、主として理事会運営などの総務運営に関わる業務に携わってきた。2022年に上場推進部に異動。統括役として上場セレモニーの企画・運営の一切を取り仕切っている。
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部下Bさん
上場推進部
2015年入社前職は金融系事業会社。2010年頃に腎機能障害が発見され、現在も週3回の透析治療を受けている。フルタイムで働けないことに居づらさを感じて転職したが、企業によって障がいへの意識がこれほど違うのかと驚いた。
Q1.お二人の仕事内容と関係性について教えてください。
上司
Aさん
上場推進部で上場セレモニーの企画・運営を行う5名のチームの上司と部下という関係です。上場セレモニーとは企業が上場した当日に催される式典で、「上場の鐘」を鳴らすシーンはよくニュースにも取り上げられますよね。
部下
Bさん
上場するのは企業だけでなくETFやETNなどの金融商品もあって、合わせると年間約200件ほどの上場セレモニーが行われます。私たちは上場が決まった企業の担当者と事前折衝を重ねてセレモニー内容の決定や記念品などの準備を行うほか、当日は関係者の応接、メディア取材の対応なども行います。企業によってはCMタレントや有名人を出席させたい、サプライズ演出をしたいなどのご要望もあります。
上司
Aさん
上場は企業にとってお祝いの日。入場人数や時間の制限はありますが、できる限り希望に添ってハレの日を盛り上げていくことが大切だと思っています。
Q2.普段の仕事のなかで障がいを意識することはありますか?
上司
Aさん
障がいの有無によって、働き方の差を感じさせるような仕事の割り振りはしていません。もちろん、Bさんは定期的な通院がありますので、通院日の午後のセレモニーを担当してもらうことはありませんが、他のメンバーでも外せないスケジュールがあればそちらを優先しますので、同じですね。職場のメンバーもお互いにフォローし合いながら、業務を行う土壌ができているので心配はしていません。
部下
Bさん
JPXでは、障がいも介護や子育てといったそれぞれの生活環境による働き方の違いも同じという感覚なんですね。私自身、障がいをまったく意識していないというと語弊がありますが、担当する業務については、各種制度を利用しながら自身で完遂するよう心がけています。
上司
Aさん
セレモニーは立ち仕事なので、疲れた表情をされていないかは意識しています。「大丈夫ですか?」と声をかけても「大丈夫です」としか返ってきませんが(笑)。
部下
Bさん
立ちっぱなしと言ってもセレモニーは30分、その前後の対応を含めても1時間程度ですから。休日にはもっとハードなこともしていますし、大丈夫です(笑)。
Q3.一緒に働いていて、刺激を受けることや
考えさせられることはありますか?
部下
Bさん
業務の中で、学ばせていただくことが多々ありますね。これまでの上司といちばん違うのは、常識というものに囚われないところです。まあ、それでお互い意見を言い合ったりもしますが、自分にはない視点や考え方はとても参考になります。
上司
Aさん
どんな業務も社内で習慣化されてしまうんですよ。そしてそこに固執してしまうと社会や時代の趨勢と乖離してしまう。なぜそのやり方なのか、それは正しい考え方なのか。それを理屈で突き詰めて、通らなければ自分たちが間違っている。自分たちが常識だと考えていたことを変えていかなくちゃいけないんです。
部下
Bさん
それが常識だと思い込んでいると自分では変化できない。指摘されて初めて考え直すことが本当に多いです。障がいについても、前職では仕事をする上でのハンディキャップだと、周囲も私自身も思い込んでいましたが、そうではないと考えるようになりました。この常識に囚われないという考え方こそが多様性の視点なのだと思います。
Q4.JPXの職場環境や企業文化についてどう感じますか?
上司
Aさん
JPXは“人が財産の会社”だと思っています。それぞれが力を発揮するためにコミュニケーションをしっかりとって、お互いの考えを理解していく。そういう文化が受け継がれていると感じますね。
部下
Bさん
近年はどの企業も制度面がアップデートされていますが、問題はどう運用されているかです。制度があっても周囲の目を気にして利用しにくければ意味がありません。JPXの特長はチーム内でコミュニケーションを取り、お互いの状況を理解しながら、業務を進めていくことだと思います。そのような形で、お互いの信頼関係を構築していくことで、さまざまな制度を利用でき、またそれが当たり前のこととして受け止められていることでしょう。私もフレックスタイム制度を通院等で、柔軟に利用しています。
上司
Aさん
JPXの場合、制度があるから働き方が変わるというよりも、働き方に合わせて制度が作られているような感じですね。昔からチームコミュニケーションを大切にしながらも、個人裁量を是とする企業風土なんです。
部下
Bさん
障がいを持ちながら働くことも、ひとつのスタイルに過ぎないという捉え方をしていただけるのはありがたいですね。チームメンバーには配慮や気遣う存在ではなく、共闘・協力するフラットな関係でありたいと考え、日々、行動しています。
Q5.今後、JPXという職場をどのようにしていきたいですか。
上司
Aさん
繰り返しになりますが、JPXは昔から人と人とのつながりを大切にしている会社だと思っています。その文化を今後も受け継ぎながら、よりチャレンジしていく会社であってほしい。働き方もそれぞれのステージにあった仕組みが用意されているので、障がいの有無にかかわらず安心して働ける会社だと思いますよ。
部下
Bさん
障がい者の立場として、何かを変えたいというのはすぐには思いつきません。ただ、多様性を認め合う社内の理解促進や、働く上でネックとなる障壁などをなくしていく方向へ進めばいいなと思います。それは障がい者だけでなく、LGBTQや国籍、ジェンダーなども含めてですね。
上司
Aさん
私も含め、チームメンバーはBさんを障がい者というより、単に週に3回早めに退勤される働き方の人と捉えています。その働き方をサポートするのがフレックスタイム制度や、1時間単位で休暇を取得できる時間休制度です。JPXが人を活かしていくために、状況に応じて制度等を整備していくことはこれからも必要でしょうね。
部下
Bさん
もし社員が本来の実力、パフォーマンスを発揮できていないなら、本人にとっても企業にとっても損失です。障がいの有無がその障壁になることはあってはいけないことですし、障がい者も生産性に寄与することで「障がいを持つ人の活躍が健常な方への良い刺激」になればいい。少し抽象的ですが、そんな未来が理想ですね。